パラセイリングとバナナボート

 空飛ぶ体験は初だったので、かなりわくわくしていた。
 しかし、わくわくをよそにインストラクターの説明と準備は
 かなり流れ作業的であった。
 まずライフジャケットを着、
 赤と青の手袋をはめる。
 パラセイルの綱の途中に 赤と青の印があり、
 そこをつかむ。
 インストラクターが赤と青の旗を出して、
 「赤、上げたら赤引く。青、上げたら青引く。両手で。
  旗、×にしたら、放す。」
 と、確かにこう言った。
 
×にしたら 放す、と。
 一応わかったつもりで、私が最初にフライト。

 空からの眺めはサイコーだった。
 珊瑚礁(なのか?)水色と碧、見渡す限りのマリンブルー!
 島もよく見渡せた。
 ヤシの木、赤茶の大地、のぞく家々。
 いやーーー、南国じゃーんっ!
 すごいじゃーんっ!!
 はた目には
 「連れ去られる宇宙人」みたいな
 格好だったものの、
 心の中は かなり大興奮であった。

 問題はその後だった。
 視線はすっかり風景にクギ付けになっていた所、
 何やら音が聞こえる。
 「*○@*▲!!!」
 ? メガホンで誰か叫んでる。 下か。
 「
赤、赤ーーーっ!あ、かーーーーーっっっっ!!
 あっ。えっ?それは私?!赤ねっ?引くんだよね?
 ぐいっと引く。
 でも 下のコテージの方まで突っ込みそうな勢い。
 え〜い、曲がれ〜〜〜!
 素人なりにも とにかく曲がらんとマズいと思い、
 両手で必死に引き続けた。
 そして?次は何?あっそうだ、旗×にしたら放すだよね?
 でも まだ何か必死で叫んでる。
 迫るコテージの屋根。
 何?ちゃんと指示見てるよ、旗?下がってるよ?
 「はーなーして、はなしてーーーーっ!!」もはや怒声。
 えっ??×で放すのでは?
 でもとにかく放せと言うので 放した。ぱっ。
 コテージ激突は免れたが、かなりスリリングな体験であった。

 結局友人2人の時も、放す時 旗は一度も×にならなかった。
 友人Cは つまづいたつんのめり状態で飛んでいった。
 友人Hは キャッチされた時「アナタ、オモイ。」と言われた。
 勢いがつき過ぎていただけなのに。失礼な!
 しかしそんなことはお構いなしに、実にさくさくとメニューは進む。
 「はいっ!終わった?次っ、誰?!」
 「次何っ?!じゃあジャケット着てっ!あっち!走って!」
 ベルトコンベアー的流れ作業。
 海の男は 気が早いのである。

 気が早いといえば、バナナボートのおじさんもそうだった。
 同乗してくれるインストラクターである。
 この人は、終始無言であった。
 やたらとスピードの速いボートに喜ぶ我々とは対照的である。
 ボートは浜と平行に走り、Uターンして戻ってきた。
 そこでおじさん、ボートを降りる。
 ズボッ。
 おじさん、首まで海につかってた。
 「ああ、岸に寄せてくれるのね」と思ったとたん、
 おじさんが口を開いた。
 「降りて。ここで。」
 !! だっておじさん、
 首まであるじゃん、水!
 我々はTシャツに短パンだったが、
 しょーがないので 下船した。
 海の男は、気が早いのである。

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